学科長挨拶

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新入生のみなさん、“こんにちは“ 学科長の笹川 展幸です。 

新元号“令和”の第1期生としての入学おめでとうございます。

 

 大学入試を経験した皆さんの多くは、正解という同じ答をより多く見つけ合格した方々ですね。それは皆さんの努力の証で称賛します。大学の講義では皆と同じ教科書で同じ教員から学問を学びますが、それを消化し、自分なりの切り口で捉える努力をしてみてください。疑問に対する正解がいくつも見つかるかもしれませんし、正解なんてないかもしれません。他人と同じ正解を求められる能力も必要ですが、自分ならではの視点に立った発見や、謎の解明ができる柔軟な脳の力“脳力”が更に必要だと私は信じています。

 上智大学の情報理工学科は、様々な学問分野に触れ、柔軟な脳の力を養える学科であると思っています。既成の1つの学問を究める事も素晴らしいことです。また、周辺の学問との接点を発展させて新たな分野を開拓する事も素敵な事でしょう。例えば、今、人工知能AIが注目されています。自動運転に応用されるAI、物流を制御するAI、医療の効率を上げるAI、AIだけでなく、あらゆるものがネットにつながるIoTと多量の情報を分析するビッグデーター技術が加わり、社会を一変させつつあります。データーサイエンスは、多くの学問・産業・世界との接点を持ち、それを更に広げるものです。一例として、私の専門である薬理学の分野の創薬について申し上げると、世の中には日々新しい薬が開発され、承認され、デビューしています。皆さんは、現在、製薬会社は1つの新しい治療薬を開発するにあたり、どれくらいの数の候補物質の発見からスタートし、どれくらいの年月を治験も含め費やしていると思われますか?ざっと約3000の候補物質から短くとも十数年かけているのが現状です。そのため、例え素晴らしい新薬が出来上がっても、多額の研究開発費等がかかり、新薬の値段は高価になり、患者の負担が増し、健康保険制度を考えると、国の財政を圧迫します。AIやビッグデーター技術を駆使したインシリコでの解析等が新薬開発・新規治療法にも応用され、創薬効率の向上・難病患者の救済、さらに国の財政をも救う事になるでしょう。 

 皆さんがこれから学ぶ情報系分野は、多くの側面を持ち、技術を支える学問に境界が無い事が、容易に想像できるかと思います。多くの学問の融合から多くの新技術が生まれ、人の仕事や職が奪われる事は産業革命以降何度も経験し、少し不安になるかもしれませんが、人がやるべき事が見えてきたとも思えます。多分、私はAIにどの様な情報を学ばせるのか判断する事、また芸術性と創造性を追求する事が人の使命になるのではないかと思います。  

 社会で活躍している卒業生と話をすると、皆が良くに言うことがあります。「大学でもっと勉強しておけばよかった」。勉強なんていつでもできると今のみなさんは思っているかもしれません。先輩方もそう思ったのでしょう。4年間は長いようで短い時間です。皆さんには、大学では新しい分野に挑戦して、多くの知識よりも“知恵”を身につけ、芸術性と創造性を生む柔軟な脳の力“脳力”を育ててほしいと願っています。